変わりゆく産業。時代とともにシフトする経済基盤と斜陽産業

これまで人類はテクノロジーの進歩によって時代を牽引する産業がシフトされるのを数え切れないほど経験してきました。例えば石器時代の主要なテクノロジーは安易に加工でき、それなりの強度のある黒曜石でしたが、青銅の登場、鋼鉄の登場によってそのニーズは圧倒的に下がりました。

黒曜石の加工技術や採掘場の情報はとある部族や集団にとっては軍事機密であり利益の源泉であり主要産業だったと考えるのが妥当です。その集団の存亡をかけた情報であり、機密であり、経済基盤のコアであったはずです。それが、次なるテクノロジーが台頭すると、徐々にに人々の感心がうすれ、実際に社会に置いてのニーズが衰退し、いつとなく忘れ去られていったのでしょう。

石器時代において、その切れ味の良さから石器素材として広く使われた。刃物として使える鋭さを持つ黒曜石は、金属器を持たない民にとって重要な資源であった。現にヨーロッパ人の来訪まで鉄を持たずに文明を発展させた南アメリカは、15世紀頃まで黒曜石を使用していた。

メキシコのアステカ文明などではマカナなどの武器を作り、人身御供で生贄の身体に使う祭祀用ナイフもつくっていた。一説にはアステカが強大な軍事力で周辺部族を征服し帝国を作れたのは、この黒曜石の鉱脈を豊富に掌握していたからだともいう。

現代でも実用に供されている。その切れ味の良さから、海外では眼球/心臓/神経等の手術でメスや剃刀として使われることがある。また、黒曜石を1000℃で加熱すると、含有された水分が発泡してパーライトとなる。

白色粒状で軽石状で多孔質であることから、土壌改良剤などとして用いられる。様々な色の混じった美しいものは、研磨されて装飾品や宝飾品として用いられている。
引用:wiki

上記のページによると、日本で黒曜石が取れるとされるのは役70箇所しか無かったようです。この70箇所を知っているかどうかがとある集団の存亡を左右したと考えるととても貴重で重要な情報だったのでしょう。例えば、松茸の取れる場所を知っているかどうかがとある農家の家計を左右する、と言った以上の重要さがあったことは容易に想像できます。狩りや戦闘において最も大切であった武器を生産できるかどうかを決定づける限り無く重要なインフォメーションです。

しかし、青銅の登場によっておそらく徐々に黒曜石産業は斜陽産業となったことはその後の歴史から鑑みれば容易に想像できます。このような産業がシフトする時にはどのようなことが起こり得たのでしょうか? 黒曜石を採掘するためだけに、とある集落は非常に不便な地域に集落を築いていたかもしれません。狩りには適していない、木のみを拾いに行くのにも適していない。しかし、黒曜石のみが比較的容易に取れる。といった場所があったかもしれません。

少し前の出来事ですが、ヤノマミとう現代文明とほとんど接触してこなかったブラジルの部族の生活がNHKスペシャルで特集されていました。そのドキュメンタリーでは、ヤノマミが狩りにでる様子が撮影されていました。男たちは村から離れた場所にイノシシを狩りに行ったのですが、この狩りは朝でて夕方帰ってくる日帰り的なものでなく、数日にわたって森を歩きイノシシの狩場に向かうのでした。

ヤノマミは現代の文明社会とのあり方がちがいます。数日の狩りにでるのにお弁当をもって出撃するわけではありません。狩りの道中に、比較的そこら辺にいる猿や鳥類などの小物動物をおやつのごとくつまみながら森の奥へと入っていくのです。現代の文明社会の男どもより強靭な肉体をもっている彼らをしても、狩りがいかに大変なものかをみてとることができる映像でした。

このヤノマミの映像から想像するに、例えば黒曜石が取れる場所を知っていたとしても、その採掘場が近場にないのなら、困難な採掘の旅を経ない限り採掘できなかったのでしょう。そうすると、この石を撮るために地域経済が構築されていたと考えることができます。

黒曜石を採掘する集団、その黒曜石を流通させる集団、その黒曜石と物々交換するための財を採ったり獲ったりする集団などが存在したのでしょう。現代でいうとある財のバリューチェーンが構築され、そのバリューチェーンによって地域経済がなりたっていたのです。

NHKオンデマンド | NHKスペシャル ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2012035560SA000/
奥アマゾンの密林で1万年以上、独自の文化・風習を守り続けている部族がいます。“最後の石器人”と呼ばれるヤノマミ族です。人間は精霊として生まれ、母に抱かれることで人間になると彼らは信じています。

彼らと150日間同居し、女だけでの出産、シロアリに食させることで天上に送る埋葬などに密着取材。すべてが共有で、好きなときに眠り、おおらかな性があり…。そんな原初の生き方を通して、人間の本質を見つめます。

時間軸や製品的にもあまり身近ではない黒曜石や青銅の話をしましたので、あまりピントきてない読者の方もいるかもしれませんので、もう一つ別の例をあげてみます。

かつて日本は石炭に頼っていた時代がありました。軍艦島(端島)はとても有名ですね。2015年にユネスコの世界遺産に登録された軍艦島について考察します。この島は、それほど遠くない近代の明治において、黒いダイヤモンドと言われた「石炭」を採掘するためだけの島でした。軍艦島は九州本土から約20キロ離れている離島で、その他の産業はありません。タバコを1本吸う間に横断できると言われるぐらい狭い島です。

この狭い島に人口が最盛期を迎えた1960年(昭和35年)には5,267人の人口がおり、人口密度は83600人/km2と世界一を誇り東京特別区の9倍以上に達したとされます。現在でもまだ使われていますが、石油が大量に採取できるようになるまでは、石炭がエネルギー産業の王様だった時代があるのです。石油は加工やエネルギー効率の観点から、現在のエネルギー産業の王様として君臨していますが、かつてはその限定的な供給量と採掘にかかるコストから王様としては君臨していない時代がありました。

しかし、テクノロジーの進歩によって、より深い地中の石油、砂の中の石油、硬い岩盤の中の石油、酸性を帯びる石油の利用が可能になり、つまり、供給路が増大し、したがって値段が低価格で安定し始めることで、多くの産業で石油が利用されることとなりました。このような流れから、石炭の採掘産業はまだまだその財が採掘が可能ではあるにもかかわらず、より安価なエネルギー資源が採取できることにより斜陽産業と陥落したのです。

 

軍艦島(端島)で思うこと – Chikirinの日記 – はてなダイアリー
2015年に「明治日本の産業革命遺産」としてユネスコの世界文化遺産に登録された長崎の端島(はしま)、通称「軍艦島」は、廃墟好きには堪らない現代遺産のひとつです。 端島は長崎港から 20キロほど沖合にある半人口島で、確かに軍艦っぽい。

中東諸国を中心に、石油の採掘利権を所持しているがゆえに甚大な財を築いている王族が存在しますが、彼らの栄華はこのエネルギー産業のシフトがおこれば、あっという間にその富は枯渇し平民と陥落するかもしれません。

 

一昔前、日本で一番儲かる産業とわれた金貸し業もそうですね。サラ金と言われた、現在消費者金融とよばれる業態で成功した各社を起業した創業家は軒並み長者番付リストに名前を連ねた時代があったのです。武富士、アコム、プロミス、レイクなど、各社の創業者はメディアでも取り上げられるやりてビジネスマン、悪徳な商人、セレブ、などとして社会から羨望や妬みの太祖油として位置づけられたこともあったのです。

武富士サラ金の帝王
長年にわたり、暴力団と裏社会の実態を取材し続けているノンフィクション作家・溝口敦氏が、裏社会とのつながりもささやかれる大手消費者金融各社の実相に真っ向から迫るリポート。

サラ金の問題が被害者の視点で取り上げられることは多いが、業界の頂点に君臨し、世界の億万長者番付の常連でいるような創業者オーナーたちに焦点が当たる機会があまりないと指摘。そこで、表題の武富士元会長である武井保雄氏に加え、プロミス最高顧問の神内良一氏、アコム会長の木下恭輔氏、アイフル社長の福田吉孝氏、旧レイク元会長の浜田武雄氏という業界の顔役たちの経歴や思想について論じる。武富士の武井、アイフルの福田の両氏には直接インタビューを試み、その一問一答を掲載している。

電話盗聴事件などの不祥事によって批判にさらされている武富士について、「社員を衆愚化することで武富士は成り立ち、そのため武富士の頭脳は武井の頭脳を超えられず、司令塔は武井だけという限界が生まれた」と厳しい。絶対権力を抱くトップの下、社員は「宗教団体入信タイプ」か「劇団・武富士で役を演じているのだと割り切るタイプ」のどちらかに属さないと生きていけなかったという事情通の声を示し、腐敗の原点をえぐる。

 

かつて栄華を極めた消費者金融は、過払い金請求という、ある種、業界再編の外部のちからによって浄化されつつあるように見えます。大手の銀行が次々に消費者金融の各社をその傘下におさめ、営業のノウハウを吸収し、そして、銀行本体の個人向け無担保ローン(おもにカードローン)として銀行本体の主要な産業として活躍するようになってきています。

 

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このように、テクノロジーの進歩によって栄華を極める産業が斜陽産業として陥落し、そのとって変わった産業もまた、次に台頭する産業によって没落させられる、というサイクルを無限に繰り返すようにみえます。人間社会における経済とは、進歩が続く限り、このサイクルを延々と繰り返すのかもしれません。